2012年12月14日金曜日

胃内異物(胃切開術)多いです

当院は大型犬が比較的多いこともあって、胃内異物(何かを食べてしまう)も多いようです。今回のワンちゃんはラブラドール・リトリーバーで、嘔吐と元気がなくなってきたとのことで来院。エコー検査で、すぐに胃内の異物を発見しました。

*最近はエコーの機械の性能が上がってきているので、異物をエコー検査のみで発見できることも少なくありません。昔は造影X線検査で何時間もかかるものもありましたが。。

早速吐かせる処置を行いましたが、出すことができなかったので、手術に踏み切ることになりました。

胃切開が終わって胃を縫合したところ。
*撥水性のディスポドレープとステリドレープは当然使います

取り出したボール

胃切開の場合は数日入院で絶食絶水ののち、少しづつお食事とお水を開始していきます。このラブラドールさんの場合は、回復も早かったので、3日目には退院となりました。術後の経過も、もちろん良好です。

2012年11月27日火曜日

看護職協会 セミナー講師無事終了しました

11/3(祝)と11/25(日)は日本動物看護職協会主催 動物看護師セミナーの講師をやってきました。11/25(日)は名古屋へ出張でしたが、大学在学時代の学会発表以来、ほぼ10年ぶりの名古屋でした。
1)会場近くの「メーテレ」と紅葉

2)11/25 会場 東別院会館



さて、今回は、動物看護師さんの教育セミナーということで、
「フィジカルアセスメント =からだの見方、評価の仕方=」というテーマで、
スライド数214枚を2時間で話してきました。
ご参加いただいた動物看護師のみなさん、まじめに聞いてくださり、ありがとうございました!






2012年10月1日月曜日

日本獣医臨床フォーラムに参加してきました

9/29, 30はお休みをいただき、日本獣医臨床フォーラムという大きな学会に参加してきました。



毎度のことながら、勉強熱心な他の獣医さんや動物看護師さんたちを見ていると、自分ももっと勉強しなくては!と思います。

今回は化学療法のことや皮膚科、麻酔科を中心にお勉強してきました。新しい発見がたくさんあったので、どんどん患者さんに還元していきます!

昨日はすごい雨、風でしたね。学会が赤坂見附だったので帰れないかと思いましたが、なんとか電車が止まる前に茅ヶ崎に帰ってくることができました。

2012年9月1日土曜日

創傷治癒の新しい治療法

犬猫はさまざまな原因で外傷が多いのですが、特に猫ちゃんにおいて広範囲な傷ができた場合、傷が治りにくいという問題点があります。

その治療法の基本は、最近いろいろなところで聞くことの多くなった「湿潤療法」がありますが、正直、これでも完全には治らないこともあります。

*湿潤療法:従来のガーゼと消毒薬での治療を否定し、「消毒をしない」「乾かさない」「水道水でよく洗う」を3原則として行う治療法のことです。

当院では、そのような傷の治療法として、レーザー治療と湿潤療法の併用を行っています。これは湿潤療法だけの治療に比べて、劇的な効果をあげています。

あと、もう一つ、新しい治療も行っています。こちらは直接ご来院いただいたときにお話します。

 中身は秘密

創傷治癒に関しては、各動物病院によって特徴があるところかもしれませんので、かかりつけの動物病院の獣医師とよくご相談なさってください。


2012年8月7日火曜日

犬の閉塞性子宮蓄膿症

4歳のメスのワンちゃんが、今日から嘔吐と、食欲がなくなったとのことで来院しました。時期的に、夏バテの犬猫が増えているので、その可能性も考えますが、避妊していないメスの場合は、必ず子宮蓄膿症を鑑別診断に入れておく必要がありますので、当院では必ず腹部エコー検査を行います。実際に腹部エコー検査を行ったところ、子宮内に多量の液体貯留を認めました。しかしながら、陰部からの分泌物が認められていません。

このような場合、「閉塞性」子宮蓄膿症が疑われます。この状態は、通常の「開放性」子宮蓄膿症(つまり、陰部からの分泌物が認められている状態)に比べて、短い時間経過で急速に状態が悪化する場合がありますので、早急な外科治療が推奨されています。

今回のワンちゃんの場合は、当日手術となりました。来院時は嘔吐と食欲減退だけでしたが、手術前のお預かりの間(といっても数時間)に、急速に体調を崩す様子も見られました(下痢、抑うつなど)。



昇圧剤やショックに対する補助治療を行いながら、慎重に全身麻酔をかけた上で、手術を行いました。また、積極的な痛み止め治療(ペインコントロール)を行うことで、手術時には軽度の腹膜炎も起こしていましたが、手術翌日からは食事も少しづつ食べ、3日目には退院となりました。

子宮蓄膿症は嘔吐や下痢、元気がないなど、夏バテの症状などと混同しやすい場合もありますので、ちょっといつもと違うな、と思った時には早めにかかりつけの動物病院にご相談下さい。

2012年7月20日金曜日

猫の肝リピドーシス





肝リピドーシスは、主に長期間食事を取らないことが原因になって、肝臓に異常に中性脂肪が蓄積して、胆汁うっ滞と肝障害を引き起こす病態で、治療が遅れると命に関わることもあります。

今回は、1週間の食欲廃絶、嘔吐、元気消失を主訴に来院されたネコちゃんでしたが、身体検査で重度の脱水と黄疸(皮膚が黄色い。特に歯肉や耳介の色で判断します。写真では分かりにくいですが、実際にはかなりはっきり分かります。)が認められたため、血液検査と腹部エコー検査を行いました。

血液検査では黄疸の数値の上昇(総ビリルビン値7.0mg/dl 正常では0.1-0.5mg/ml)と肝酵素値の上昇などから重度肝障害が示唆され、腹部エコー検査でも肝臓のびまん性高エコー(正常より白く見られる)が認められたため、肝リピドーシスと診断しました。

肝リピドーシスの治療は、積極的な栄養補給と水分補給です。食欲が回復するまでは点滴と強制給餌が必要になるため、毎日の通院治療あるいは入院治療が一般的に行われます。今回のネコちゃんは治療開始後間もなくしっかりと食事を取ることができるようになりました。

食事をとらない状態が数日続いているときには、様子を見すぎずにかかりつけの動物病院にご相談下さい。

2012年6月19日火曜日

犬の疥癬

疥癬とはヒゼンダニ類という寄生虫が引き起こす皮膚の病気です。
非常に強い痒みと皮膚の炎症が特徴です。

今回のワンちゃんは皮膚のアレルギー疾患と言われて治療を受けていましたが、途中で飼い主さんが変わったこともあり、お薬やシャンプーを飲んでいても改善しないとのことで来院されました。

初診のときには、かゆみもさることながら、全身状態の悪化が顕著でした(画像下)。当院では皮膚掻爬検査を行った所、画像右下の様な寄生虫(疥癬)が認められました。


疥癬の一般的な治療はダニ駆除薬を1週間〜10日間隔で注射します(ダニの卵にはダニ駆除薬が効果ないので、孵化したころに注射する、を繰り返す必要があります)。

このワンちゃんは数回このお注射を行った他、食事療法、シャンプー療法で完治しました(画像下)。

夜も寝られないほど痒みがある、お薬を飲んでいるのに改善しないというときには、この疥癬の可能性もありますので、かかりつけの動物病院の先生にご相談下さい。



2012年6月16日土曜日

犬の心膜液貯留

高齢のゴールデン・リトリーバーが元気消失と発咳を主訴に来院されたのですが、心臓のエコー検査を見ると、心膜腔と呼ばれる心膜と心膜の間の空間(矢印の部分)に大量の液体貯留が認められました。
このような状態を心膜液貯留と呼びます。

鑑別診断としては、血管肉腫や大動脈小体腫瘍、中皮腫などの腫瘍疾患、ゴールデン・リトリーバーに多い特発性(つまり、原因不明の)心膜液貯留などが考えられます。

心膜液貯留が急激だったり、貯留液が多くなると心臓を圧迫して心臓の収縮・拡張機能に影響をきたすことで血圧が下がる状態を「心タンポナーデ」と呼び、適切な治療が施されないと亡くなってしまうこともあります。

心膜液貯留の診断、治療については状態によって様々な選択肢(心膜穿刺、心膜切除などの外科手術など)がありますので、かかりつけの動物病院とよく相談する必要があります。

2012年5月19日土曜日

猫の乳び胸(特発性)

今年17歳になる猫ちゃんが元気・食欲減退と努力性呼吸で来院されました。

エコー検査で胸水の貯留を確認したので、胸腔穿刺にて胸水を抜いてみると、牛乳のような色をしています(写真を参考にしてください 写真は2回目の胸腔穿刺時のもので、1回目はこの何倍もの量を抜去しました)

その後の臨床検査で、胸水は「乳び胸」と診断しました。

乳び胸は、胸腔内の胸管と呼ばれるところを流れる乳び液が、胸腔内に漏れ出てたまってしまった状態です。

原因には、外傷性のものや、胸腔内の腫瘍などによるもの、原因が不明のもの(特発性)がありますが、今回の猫ちゃんの場合は、検査の結果から特発性のものであることが分かりました。

乳び胸の治療は内科療法から外科治療まで、さまざまなものがありますので、乳び胸と診断された時には、かかりつけの動物病院さんとよくご相談なさってください。

2012年5月5日土曜日

喉にボールが詰まったワンちゃん

最近、喉の奥にボールが詰まったワンちゃんが来院されました。

別にボール遊びをしていた訳ではなかったのですが、お部屋にあったボールをサッとくわえてしまった時に詰まってしまったとのこと。

なんとかなんとか呼吸できている状態でしたが、ボールが少し動くと呼吸ができなくなるため、チアノーゼを起こしてしまうほど、いやな位置でひっかかってしまっている状態。ボールを何かで引っ掛けようとしても、表面がすべってしまってなかなか引っ張りだすことができません。

今回は幸いにも、ボールの一部にかけていたところがあったので、鉗子をひっかけてひっぱりだすことができ(写真参照)、事なきを得ました。


これとは別に、連休中はボールを飲み込んだ(完全に)というワンちゃんもよく来院します。GWも終盤ですが、ボール遊びの際には、ワンちゃんの口の大きさとボールの大きさには注意してください。

2012年4月27日金曜日

脾臓の血管肉腫

今回は、健康診断のエコー検査で、脾臓に腫瘤が見つかったワンちゃんです。

脾臓に腫瘤ができた場合、多く見られるのが結節性過形成(良性の腫瘤)と血管肉腫(悪性腫瘍)なのですが、エコー検査やX線検査ではどちらかの鑑別は困難なため、多くの場合外科手術(脾臓摘出術)を行って、その後の病理組織学的検査で確定診断を付けます。

今回の結果は血管肉腫でした。

脾臓の血管肉腫は、脾臓の悪性腫瘍の約50%を占めるほど、よく見られる悪性腫瘍です。腫瘍が巨大であると出血に伴う貧血や血液凝固不全となる可能性があり、手術前に輸血など積極的な支持治療が必要となることがあります。また、肺や肝臓、心臓などに転移する可能性も高いので、手術後に抗がん剤を開始します。

このような脾臓の腫瘤は健康診断時のエコー検査で見つかることが当院では非常に多くなっていますので、かかりつけの動物病院で健康診断を受ける時には、ぜひエコー検査も一緒に受けさせてあげてください。

2012年4月1日日曜日

大学院研究生になりました。

本年度より、日本大学の大学院研究生(獣医外科学研究室)に所属することになりました。

今までも大学病院無給研修医として外科を学ばせていただきましたが、これからより深い部分まで多く学び、それを当院での診療に生かしていきたいと思っています。

それに伴い、火曜日の予約診療日の診療は淳美先生にお願いすることが多くなると思います(診療時間などの変更はありません)ので、ご理解のほど、よろしくお願いします。

院長

写真:ビビです。大学病院で供血犬として飼われていましたが、高齢になったので供血犬としては引退し、成田家で気ままな毎日を送っています。

狂犬病予防接種のお知らせ

今日から狂犬病予防接種の時期が始まりました。

当院では、茅ヶ崎市、藤沢市の市役所への手続き代行も行っています。

例年、4月下旬〜5月中旬にかけては病院が大変込み合います。

4月初旬頃に来ていただければ、待ち時間も少なくて済みますので、お時間の許す方は早めにご来院下さい。

院長


2012年3月23日金曜日

今日で当院は5年目を迎えます



今日、3月23日は当院の開院記念日です。

あっという間の4年が過ぎ、5年目を迎えました。

今後も診療レベルを少しずつではありますが、確実に高めていき、

飼い主のみなさんからの期待に応えて、できるだけ多くの犬猫を助けていきたいと思います。

今年もシーサイドアニマルクリニックをよろしくお願いします。

院長 成田直樹

2012年3月15日木曜日

またも胃内異物(鶏の骨)

当院、なぜか胃内異物が多く来ます。


画像はワンちゃんのお腹を横から撮ったエックス線の写真ですが、丸く点線の中に鶏の骨が奇麗に見えます。

手術? 吐かせる? 内視鏡? と選択肢はいろいろありますが、それぞれにリスクや限界がありますので、かかりつけの動物病院の先生とよく相談してください。

今回のワンちゃんは見事に吐かせるのに成功です(右側の画像)。

2012年3月8日木曜日

猫の大腿骨骨折




・・・見るからに痛そうですね。

今回の猫さんは棚板の金属の網に足をはさんだまま落っこちたときに骨折してしまったそうです。

骨折整復術まではしっかりと痛み止めを使うのも大切です。

2012年3月5日月曜日

胃内異物・紐状異物(犬)


今回のワンちゃん(パピヨン)は、2週間ぐらい前からの嘔吐を主訴に来院されました。

エコー検査とX線検査で、胃内異物と腸閉塞が疑われ、開腹手術となりました。

画像は胃から取り出した毛玉です。いろいろな毛や繊維が絡み合ってできたものです。

また、腸には細いヒモ(というか糸っぽい)ものがひっかかっていたので、3カ所ほど腸を切開して、ヒモを少しづつ取り出すという手術も行いました。

胃と腸(3カ所)を切るという比較的大きな手術でしたが、術後はすぐに回復しました。

何か飲みこんでしまったり、数日に1回〜毎日吐くといった症状が見られたときには、かかりつけの動物病院にご相談下さい。