2012年7月20日金曜日

猫の肝リピドーシス





肝リピドーシスは、主に長期間食事を取らないことが原因になって、肝臓に異常に中性脂肪が蓄積して、胆汁うっ滞と肝障害を引き起こす病態で、治療が遅れると命に関わることもあります。

今回は、1週間の食欲廃絶、嘔吐、元気消失を主訴に来院されたネコちゃんでしたが、身体検査で重度の脱水と黄疸(皮膚が黄色い。特に歯肉や耳介の色で判断します。写真では分かりにくいですが、実際にはかなりはっきり分かります。)が認められたため、血液検査と腹部エコー検査を行いました。

血液検査では黄疸の数値の上昇(総ビリルビン値7.0mg/dl 正常では0.1-0.5mg/ml)と肝酵素値の上昇などから重度肝障害が示唆され、腹部エコー検査でも肝臓のびまん性高エコー(正常より白く見られる)が認められたため、肝リピドーシスと診断しました。

肝リピドーシスの治療は、積極的な栄養補給と水分補給です。食欲が回復するまでは点滴と強制給餌が必要になるため、毎日の通院治療あるいは入院治療が一般的に行われます。今回のネコちゃんは治療開始後間もなくしっかりと食事を取ることができるようになりました。

食事をとらない状態が数日続いているときには、様子を見すぎずにかかりつけの動物病院にご相談下さい。