2012年8月7日火曜日

犬の閉塞性子宮蓄膿症

4歳のメスのワンちゃんが、今日から嘔吐と、食欲がなくなったとのことで来院しました。時期的に、夏バテの犬猫が増えているので、その可能性も考えますが、避妊していないメスの場合は、必ず子宮蓄膿症を鑑別診断に入れておく必要がありますので、当院では必ず腹部エコー検査を行います。実際に腹部エコー検査を行ったところ、子宮内に多量の液体貯留を認めました。しかしながら、陰部からの分泌物が認められていません。

このような場合、「閉塞性」子宮蓄膿症が疑われます。この状態は、通常の「開放性」子宮蓄膿症(つまり、陰部からの分泌物が認められている状態)に比べて、短い時間経過で急速に状態が悪化する場合がありますので、早急な外科治療が推奨されています。

今回のワンちゃんの場合は、当日手術となりました。来院時は嘔吐と食欲減退だけでしたが、手術前のお預かりの間(といっても数時間)に、急速に体調を崩す様子も見られました(下痢、抑うつなど)。



昇圧剤やショックに対する補助治療を行いながら、慎重に全身麻酔をかけた上で、手術を行いました。また、積極的な痛み止め治療(ペインコントロール)を行うことで、手術時には軽度の腹膜炎も起こしていましたが、手術翌日からは食事も少しづつ食べ、3日目には退院となりました。

子宮蓄膿症は嘔吐や下痢、元気がないなど、夏バテの症状などと混同しやすい場合もありますので、ちょっといつもと違うな、と思った時には早めにかかりつけの動物病院にご相談下さい。