2014年12月3日水曜日

半導体レーザーを用いた歯周ポケットの殺菌・消炎・疼痛緩和

歯石除去は比較的多くのワンちゃん・ねこちゃんで行われることの多い処置の1つです。

通常は超音波スケーラーという医療機器を用いて歯や歯周ポケットにたまった歯石を除去していきます。

当院では、歯石除去を行ったあと、歯周ポケットに半導体レーザーを入れて照射するという方法があります。

これによるメリットとして、

(1)歯周に残っている雑菌を殺すことができる 
(2)歯肉の引き締め効果がより高まる
(3)処置後の痛みを緩和する

があります。処置後の経過を確実なものにするためのよいツールだと思います。

歯石除去をお考えの方は、かかりつけの獣医師にご相談下さい。




*当院では無麻酔での歯石除去は行っておりません(理由については、日本小動物歯科研究会HPに詳細が載っていますので参考にしてください)。

*病気などでやむを得ず無麻酔で歯石除去を行う場合は、「必ず」獣医師に処置をお願いして下さい。最近、獣医師免許を持たない一般の方(動物看護士、トリマーなど)がトリミングサロンなどで、無麻酔歯石除去を行い、事故を起こす事例が増えています。この行為は医療行為とみなされ、獣医師以外が行うことは法律で禁止されています。


2014年11月19日水曜日

先日の小動物飼育アドバイザーの続き


前回、小学校で小動物飼育アドバイザーという獣医師会のお仕事をしてきた話を書きましたが、先日お礼のお手紙集をいただきました。




やって良かったなぁ、本当に励みになります。

診察室に貼ってあるので、ご来院の際にぜひご覧ください。

2014年11月12日水曜日

今年の小動物飼育アドバイザー

今年も小学校で動物のことについての授業をする「小動物飼育アドバイザー」制度で、小学校を訪問しました。

今回は小3、130名弱という大人数でしたが、よく話を聞いてくれたな−と感心しました。

内容も「いのち」、それも災害のこともふくめて欲しいとのことだったので、スライド作成には気を使いましたが、みんなの記憶に残るものになってくれればと思います。




2014年10月14日火曜日

陰部から塊が出てきたら・・・(膣平滑筋腫)

11歳 メスの黒ラブさんです。

突然陰部からピンク色の塊がぶら下がるように出てきて、排尿しづらそうとのことでした。

こんなパターンの時は1)膣過形成 2)膣平滑筋腫のどちらかが多いのですが、どちらも治療法は外科治療(まだであれば避妊手術を一緒に)がメインとなります。

問題はこの黒ラブさん、避妊手術をしているかわからない(高齢になってから引き取った)ことでしたが、こんな場合は、エコー検査が大変有用です。それなりのエコーの機械であれば、卵巣は見えます。今回もエコー検査で左右卵巣を確認できました。

というわけで若干高齢ではありましたが、避妊手術+膣腫瘤切除を実施しました。
術後、病理組織学的検査結果は「膣平滑筋腫」でした。再発もなく、経過も良好です。

陰部から塊が出てきたら、早めにお近くの動物病院でご相談下さい。



2014年8月23日土曜日

フィジカルアセスメントセミナー講師のご報告

このところ、恒例行事のようになっているフィジカルアセスメントのセミナーを今年も行いました。今回は普段よりも参加人数の多い、約140名! 場所は渋谷です。


さすがに緊張しましたが、せっかく参加してくれた動物看護師の役に立つべく、55分でスライド120枚という、非常識なプレゼンテーションをしてきました。
伝えたいことがありすぎて、時間が足りません。早いと思った方、申し訳ありません。







講義のあと、一緒にセミナー講師を務めていたR大のS先生、夜合流したN大のT先生と一緒に麻酔の話などをしながら、楽しく食事を取ることが出来ました。

獣医師同士だけでなく、いろいろな分野の方と話すことは本当に参考になります。
この中から得た知識は、早速病院の現場で実践していきます。


2014年7月1日火曜日

ポリプロピレンメッシュを用いた会陰ヘルニア整復術


会陰ヘルニアは、骨盤周りの筋肉が弱くなり、脂肪や腸、膀胱、前立腺がおしりに飛び出して腫れてくる病気です。

この治療法はいろいろな方法がありますが、今回は、大型犬のボルゾイに対して、ポリプロピレンメッシュを用いた整復を行いました。


左下がポリプロピレンメッシュです。円錐状に形作り、ヘルニア部位に入れて縫合します。


会陰ヘルニアの術後管理を左右するのは、1)ペインコントロール 2)術中の感染予防3)オーナーさんの病気に対する理解と協力 と考えています。このワンちゃんはオーナーさんの手厚い看護もあり、合併症は一切なく回復しました。



2014年5月30日金曜日

6/7(土)市民向けセミナーの講師をやります。

飼い主のみなさんへのご案内です。

6/7(土)に「犬種によってかかりやすい病気」のテーマでミニセミナーが行われ、私が講師を務めることになりました。
興味のある方は、茅ヶ崎わんわんパトロール隊までお問い合わせ下さい。



現在頑張ってスライド作成中です。
期待してくださいね。

2014年4月1日火曜日

合格通知(2つ)と学会発表

新しい年度が始まりました。
今年はすでに2つの合格通知を頂きました。


1つはレーザー治療を強化するために、「獣医療レーザー認定医」なるものを取得するための講習会の参加と試験の合格通知。もう1つは継続して勉強させて頂いている、大学の研究生の合格通知です。

また、3月21日には、神奈川県獣医師会学術大会にて、学会発表もさせていただきました。大学研究生の成果報告も兼ねています。



まだまだ自分は未熟であることを、日々の診療でも学会発表でも感じます。
もっと勉強し、1頭でも多くの患者さんを救えるよう、日々邁進してまいります。


2014年2月6日木曜日

先月の帝王切開

帝王切開では、いかに短時間の全身麻酔で安全に手術を行えるか、が大切です。当然のことですけど、効率的な手術って、事前の詳細な患者動物の評価と麻酔計画の上に成り立っているんです。


2014年2月5日水曜日

より良い電子カルテを作るために

当院では、診療明細を電子カルテで管理していますが、実はファイルメーカーというアプリを利用して自作しています。

先日は、このファイルメーカーのスキルアップセミナーというものに参加してきました。



獣医なんて(たぶん)自分だけ、様々な業種の方が集まっているため、同業種からは出ないであろう面白いアイデアや考え方を学ぶことができ、とってもいい刺激を受けることができました。みんな知識も半端ないですし、何よりこのセミナーで1つでも多くを身につけようとする意欲がビシビシ感じてきました。

今回の経験をちゃんと診療に生かすべく、電子カルテにも改良を加えていきたいと思っています。

2014年1月14日火曜日

犬の交配適期診断

このところ、産科の相談も増えてきております。

交配適期の判断は、発情出血あるいは陰部が腫れ始めた日からの日数や、膣スメア検査といって、膣粘膜の細胞診(写真)を参考に決めます。

膣スメア検査:有核細胞が多い状態で交配まではもう少し日数が必要です。

事前のご相談があると、タイミングがつかみやすくなりますので、交配を検討中の方はぜひご相談ください。

獣医麻酔外科学会(仙台)参加報告

1/11-12は仙台で行われた獣医麻酔外科学会に参加してきました。

聴講した講義の主な内容としては
・アルファキサロン(新しい静脈麻酔薬)
・周術期輸液管理
・膝蓋骨脱臼の診断・治療
・CPR(心肺蘇生)

でしたが、中でも興味深かったのは、CPR(心肺蘇生)でした。
講義の途中では、実際にモデル犬を使った簡単なトレーニングを学ぶことができました。







日々新しくなるガイドラインや新情報に遅れることなく、病院で実践していきたいと思います。