2012年9月1日土曜日

創傷治癒の新しい治療法

犬猫はさまざまな原因で外傷が多いのですが、特に猫ちゃんにおいて広範囲な傷ができた場合、傷が治りにくいという問題点があります。

その治療法の基本は、最近いろいろなところで聞くことの多くなった「湿潤療法」がありますが、正直、これでも完全には治らないこともあります。

*湿潤療法:従来のガーゼと消毒薬での治療を否定し、「消毒をしない」「乾かさない」「水道水でよく洗う」を3原則として行う治療法のことです。

当院では、そのような傷の治療法として、レーザー治療と湿潤療法の併用を行っています。これは湿潤療法だけの治療に比べて、劇的な効果をあげています。

あと、もう一つ、新しい治療も行っています。こちらは直接ご来院いただいたときにお話します。

 中身は秘密

創傷治癒に関しては、各動物病院によって特徴があるところかもしれませんので、かかりつけの動物病院の獣医師とよくご相談なさってください。


2012年8月7日火曜日

犬の閉塞性子宮蓄膿症

4歳のメスのワンちゃんが、今日から嘔吐と、食欲がなくなったとのことで来院しました。時期的に、夏バテの犬猫が増えているので、その可能性も考えますが、避妊していないメスの場合は、必ず子宮蓄膿症を鑑別診断に入れておく必要がありますので、当院では必ず腹部エコー検査を行います。実際に腹部エコー検査を行ったところ、子宮内に多量の液体貯留を認めました。しかしながら、陰部からの分泌物が認められていません。

このような場合、「閉塞性」子宮蓄膿症が疑われます。この状態は、通常の「開放性」子宮蓄膿症(つまり、陰部からの分泌物が認められている状態)に比べて、短い時間経過で急速に状態が悪化する場合がありますので、早急な外科治療が推奨されています。

今回のワンちゃんの場合は、当日手術となりました。来院時は嘔吐と食欲減退だけでしたが、手術前のお預かりの間(といっても数時間)に、急速に体調を崩す様子も見られました(下痢、抑うつなど)。



昇圧剤やショックに対する補助治療を行いながら、慎重に全身麻酔をかけた上で、手術を行いました。また、積極的な痛み止め治療(ペインコントロール)を行うことで、手術時には軽度の腹膜炎も起こしていましたが、手術翌日からは食事も少しづつ食べ、3日目には退院となりました。

子宮蓄膿症は嘔吐や下痢、元気がないなど、夏バテの症状などと混同しやすい場合もありますので、ちょっといつもと違うな、と思った時には早めにかかりつけの動物病院にご相談下さい。

2012年7月20日金曜日

猫の肝リピドーシス





肝リピドーシスは、主に長期間食事を取らないことが原因になって、肝臓に異常に中性脂肪が蓄積して、胆汁うっ滞と肝障害を引き起こす病態で、治療が遅れると命に関わることもあります。

今回は、1週間の食欲廃絶、嘔吐、元気消失を主訴に来院されたネコちゃんでしたが、身体検査で重度の脱水と黄疸(皮膚が黄色い。特に歯肉や耳介の色で判断します。写真では分かりにくいですが、実際にはかなりはっきり分かります。)が認められたため、血液検査と腹部エコー検査を行いました。

血液検査では黄疸の数値の上昇(総ビリルビン値7.0mg/dl 正常では0.1-0.5mg/ml)と肝酵素値の上昇などから重度肝障害が示唆され、腹部エコー検査でも肝臓のびまん性高エコー(正常より白く見られる)が認められたため、肝リピドーシスと診断しました。

肝リピドーシスの治療は、積極的な栄養補給と水分補給です。食欲が回復するまでは点滴と強制給餌が必要になるため、毎日の通院治療あるいは入院治療が一般的に行われます。今回のネコちゃんは治療開始後間もなくしっかりと食事を取ることができるようになりました。

食事をとらない状態が数日続いているときには、様子を見すぎずにかかりつけの動物病院にご相談下さい。

2012年6月19日火曜日

犬の疥癬

疥癬とはヒゼンダニ類という寄生虫が引き起こす皮膚の病気です。
非常に強い痒みと皮膚の炎症が特徴です。

今回のワンちゃんは皮膚のアレルギー疾患と言われて治療を受けていましたが、途中で飼い主さんが変わったこともあり、お薬やシャンプーを飲んでいても改善しないとのことで来院されました。

初診のときには、かゆみもさることながら、全身状態の悪化が顕著でした(画像下)。当院では皮膚掻爬検査を行った所、画像右下の様な寄生虫(疥癬)が認められました。


疥癬の一般的な治療はダニ駆除薬を1週間〜10日間隔で注射します(ダニの卵にはダニ駆除薬が効果ないので、孵化したころに注射する、を繰り返す必要があります)。

このワンちゃんは数回このお注射を行った他、食事療法、シャンプー療法で完治しました(画像下)。

夜も寝られないほど痒みがある、お薬を飲んでいるのに改善しないというときには、この疥癬の可能性もありますので、かかりつけの動物病院の先生にご相談下さい。



2012年6月16日土曜日

犬の心膜液貯留

高齢のゴールデン・リトリーバーが元気消失と発咳を主訴に来院されたのですが、心臓のエコー検査を見ると、心膜腔と呼ばれる心膜と心膜の間の空間(矢印の部分)に大量の液体貯留が認められました。
このような状態を心膜液貯留と呼びます。

鑑別診断としては、血管肉腫や大動脈小体腫瘍、中皮腫などの腫瘍疾患、ゴールデン・リトリーバーに多い特発性(つまり、原因不明の)心膜液貯留などが考えられます。

心膜液貯留が急激だったり、貯留液が多くなると心臓を圧迫して心臓の収縮・拡張機能に影響をきたすことで血圧が下がる状態を「心タンポナーデ」と呼び、適切な治療が施されないと亡くなってしまうこともあります。

心膜液貯留の診断、治療については状態によって様々な選択肢(心膜穿刺、心膜切除などの外科手術など)がありますので、かかりつけの動物病院とよく相談する必要があります。

2012年5月19日土曜日

猫の乳び胸(特発性)

今年17歳になる猫ちゃんが元気・食欲減退と努力性呼吸で来院されました。

エコー検査で胸水の貯留を確認したので、胸腔穿刺にて胸水を抜いてみると、牛乳のような色をしています(写真を参考にしてください 写真は2回目の胸腔穿刺時のもので、1回目はこの何倍もの量を抜去しました)

その後の臨床検査で、胸水は「乳び胸」と診断しました。

乳び胸は、胸腔内の胸管と呼ばれるところを流れる乳び液が、胸腔内に漏れ出てたまってしまった状態です。

原因には、外傷性のものや、胸腔内の腫瘍などによるもの、原因が不明のもの(特発性)がありますが、今回の猫ちゃんの場合は、検査の結果から特発性のものであることが分かりました。

乳び胸の治療は内科療法から外科治療まで、さまざまなものがありますので、乳び胸と診断された時には、かかりつけの動物病院さんとよくご相談なさってください。

2012年5月5日土曜日

喉にボールが詰まったワンちゃん

最近、喉の奥にボールが詰まったワンちゃんが来院されました。

別にボール遊びをしていた訳ではなかったのですが、お部屋にあったボールをサッとくわえてしまった時に詰まってしまったとのこと。

なんとかなんとか呼吸できている状態でしたが、ボールが少し動くと呼吸ができなくなるため、チアノーゼを起こしてしまうほど、いやな位置でひっかかってしまっている状態。ボールを何かで引っ掛けようとしても、表面がすべってしまってなかなか引っ張りだすことができません。

今回は幸いにも、ボールの一部にかけていたところがあったので、鉗子をひっかけてひっぱりだすことができ(写真参照)、事なきを得ました。


これとは別に、連休中はボールを飲み込んだ(完全に)というワンちゃんもよく来院します。GWも終盤ですが、ボール遊びの際には、ワンちゃんの口の大きさとボールの大きさには注意してください。